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ドービー・ツボイのアメカルレクチャー

ドービー・ツボイ

映画館「シネマスコーレ」のスタッフ。アメカル映画マスター
2007/10/16

最近のホラー映画につきまして

数年前『SAW』というホラー・サスペンス映画が日本で公開されました。密室の中で鎖に足をつながれた他人同士の男が二人と頭を打ち抜かれた遺体が一人。ジグソウと名乗る犯人が次々仕掛ける殺人ゲームがちょっとした話題になり日本ではヒットしました。それに乗じて日本のビデオレンタル業界には『SAW』の二番煎じを名乗る作品がたくさんリリースされました。

例を挙げますと『SAW』ではなく『パズラー』(たぶん謎解きがパズルに似ているという点で付けられた邦題です)とか、ジグソウではなく『ジグソー』(ウがーに変わっただけで中味はおそらく普通のサスペンス映画です)など素晴らしいニセモノ映画たちがたくさん出現しました。そしてこのノリは映画館で上映されるホラー作品にも影響を与え、『SAW』の製作会社ライオンゲートが製作するホラー映画には必ず“『SAW』の”と冠がつきますし、ちょっとでも密室モノだったり犯人が殺人を楽しむ快楽犯だと必ず『SAW』と比較されます。僕はなんだかんだ言い訳しながら続いている『SAW』シリーズとは肌が合わないらしく、作品の部分部分は面白いと思いますが全体的で楽しんだことはありませぬ。ましてや今回紹介したい2作品も『SAW』と比較され、きちんと紹介されぬままあっさりと片付けられてしまいました。僕にとってはどれだけ『SAW』より傑作だったことでしょうか!

まず1本目は『キャプティビティ』です。非常にタイトルが覚えずらい残念な1本です(昔ジョン・キューザックとケイト・ベッキンセールが共演したラブコメ『セレンディピティ』と似ていて、僕はよく間違えます)。内容が正体不明の犯人に誘拐され、理由もわからないまま部屋に監禁されるヒロインの話といろんな媒体で紹介されたため、完全『SAW』チックな映画だと印象付けられてしまった残念な作品です。ご覧いただいた方にはお分かりだと思いますが、本作品ヒロインが監禁されたことやそれにまつわる拷問シーンなんかにはこの監督には全然興味ないらしく、いかに犯人には犯人の悩みがあるか、理由不明で誘拐された人間(女性)が同じ状況下におかれている美男子に弱いか(もちワンナイト・スタンドありです)、そしてなんといっても最高の結末!!これに監督は興味あるらしく、とても素晴らしい傑作になりました。その監督とは、過去に『ミッション』『キリング・フィールド』などまったくホラー映画に興味のない社会派映画ばかり撮ってきたローランド・ジョフィでした。雇われ監督だったとしても、このホラー映画のローランド・ジョフィの演出は間違っていない。

2本目は1979年製作のサスペンス映画『夕暮れにベルが鳴る』のリメイク『ストレンジャー・コール』です。内容はある豪邸でベビーシッターすることになったヒロインが電話のみで攻撃してくる変態殺人鬼に追い詰められる映画です。この作品も豪邸という密室、姿なき快楽殺人犯ということで『SAW』と比較された残念な傑作です。監督は今までハリウッドの超スターシステム中で映画を撮って来たヒットメイカーのサイモン・ウェスト(代表作は今はブラピの妻、ジョリージョリーの『トゥームレイダー』などなど)。なぜこの監督がスターを使わず、豪邸というセットの中で、『夕暮れにベルが鳴る』のリメイクを撮ったのでしょうか?観ていただくとこちらも納得できます。単純に面白い。実はホラー・サスペンス映画を作る場合、単純な設定ほど大事なことはありませんので、サイモン・ウェストはこの方法論を見事に本作で成功させております。綺麗な女の子が豪邸の中をギャーギャーわめいて逃げ回る画ほどホラー映画にとって必要な要素はこれ以上にございません。もち『ストレンジャー・コール』でもたっぷり楽しめます。そしてコンパクトな上映時間87分!パーフェクトです。

ということで『SAW』とは比較にならない(僕にとってですが)素敵なホラー映画がたくさんあります。皆さん「『SAW』の」と冠についててもだまされず観て下さい。今回のような傑作に出会えます!そんなホラー映画たちにアメカル万歳!

映画「ストレンジャー・コール」宣伝用チラシ

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