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ドービー・ツボイのアメカルレクチャー

ドービー・ツボイ

映画館「シネマスコーレ」のスタッフ。アメカル映画マスター
2007/09/25

リンチ帝国へようこそ

子供の時、放映日の次の日、学校で話題になる映画ってありませんでした?そう質問されれば、僕は間違いなくこのタイトルを口にします。それは『エレファント・マン』です。最初にこの映画を見た時は衝撃的でした。顔の奇病のため、サーカスで見世物にされていた男、エレファント・マン。そんな彼の心の叫び、「僕は動物なんかじゃない、人間なんだ!」。これは今でも心に響きます。この映画のポスターデザインも素晴らしく、ズタ袋(目の部分が一箇所だけ穴が開いています)を被って、その上に帽子も被っている男の写真です。しかもモノクロ(作品自体もモノクロですが)。

『エレファント・マン』でヤラれた僕は、この作品を撮った男、デヴィッド・リンチにも興味が沸きました。皆さんご存知だと思いますが、『ツイン・ピークス』というTVドラマで社会現象(カイル・マクラクランが缶コーヒーのCMに出るとか、ドラマ中に出てくるチェリーパイが商品化され菓子パンになるとか)を作り上げた男です。リンチは独特の映像センスと意味不明、そして難解なストーリー、奇妙キテレツで強烈なキャラクターたちがとっても魅力的で世界中にリンチフリーク(またはリンチ世界の住人たちとも呼ばれています)な方々を今も宗教的カルト感覚で生み続けています。

僕も大好きなリンチ作品がたくさんあります。本当に消しゴム頭な赤ちゃんが大活躍、出てくるキャラはみんなヤバイ『イレイザーヘッド』、サンド・ウォームなる砂漠ミミズや変な格好(ファッション?)のスティングが活躍する超大作で問題作『砂の惑星』、落ちてた片耳にデニス・ホッパーの異常性愛路線まっしぐらなマイベスト『ブルーベルベット』、ズルなハゲイジのホントの代表作、そして口元がとっても異常なウィレム・デフォーが大活躍な『ワイルド・アット・ハート』などなど、語り出すとキリがありまへん。

『ツイン・ピークス』以降の作品ももちろん大好きなんですが、自分的にはリンチ初期作品の方が思い入れがおつようございます。リンチ先生は『ツイン・ピークス』以外で制作して放送されたTVドラマはみんな途中で打ち切りという素晴らしい功績の持ち主でもあります(そりゃあんな不条理で誰も理解できんドラマはみんな打ち切りますね)。僕からするとなぜ『ツイン・ピークス』があそこまで人気が出たか、不思議でたまらないです。良い意味で取れば、それもリンチ先生の魅力かもしれませんが。

現在公開中のリンチ先生最大の問題作『インランド・エンパイア』、見てきました。上映時間3時間!映像は撮り溜めしていたモノを繋いだだけ!そりゃ誰も理解できません!でもなんだかとっても面白い!とまさにリンチ帝国の野望がギラギラしている素晴らしい作品でした。ちなみにベネチア映画祭できちんと賞ももらっています。さすがベネチア、理解力がある(笑)。

リンチ先生は自分のHPで自分の実験映像をたくさん流しているらしいですが、各国の映画祭に出席して不在の時は、「今映画祭に行っています」という看板だけをえんえん撮ってる実験映像が流れたこともあるらしいです!やっぱり素晴らしいリンチ帝国の野望にアメカル万歳!



PS.リンチの娘、ジェニファー・リンチもやっぱり素晴らしく、彼女の撮った『ボクシング・ヘレナ』は大好き過ぎた女・ヘレナを両手両足切って箱に詰めて喜ぶ男の話でした。それってタイトルそのままで素晴らし過ぎです!

 映画「エレファント・マン」宣伝用チラシ

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