食べ物の歌
レパートリーのほとんどが食べ物に関する歌、という上野茂都(しげと)さんという方がある。私も年に一、二度共演させていただいていて、毎度客席が沸くのを見ている。
表現するにしても観賞するにしても、芸術や芸能には個人個人の好みの差、知識量の差などが大きく関係する。ジャンルというものが現れるのはそのせいでもある。しかし食べ物はどうか。美味しければ人は集まる。これは料理という奥深い道について言うわけではなく、例えば美味しい人参といったレベルで考えてみてほしい。これにも育てる人の努力が関係するが今は置いておくとして、美味しい食べ物にはどんな種類の人間も集まる。
そして食べ物のことは誰でも知っている。そして生きてゆくためには不可欠なものである。芸術に無縁な人間は多いが食から離れられる人間は無い。
というわけで食べ物を題材にする上野氏の音楽は誰でも楽しめるのだ。勿論それをエンターテイメントとして成立させる氏の総合的な芸の力が有っての話だが。なにしろ中高生の時分から寄席に通っていたといういわば筋金入りの変わり者である。日本の話芸のエッセンスも氏には染み付いているのであろう、ステージでのたたずまいはミュージシャンというより噺家などの芸人さんのそれのようでどこか可笑しさが漂う。笑いというのもまた万人に通じるところが多いものである。これによって氏の音楽の持つ親しみやすさはより増している。
なんと氏の本業は彫刻を主に手掛ける美術家である。音楽家として見せる芸能(家)的要素は美術作品においては薄く、私などは特に氏の彫刻作品にはどちらかというと圧倒される。長く路地に置かれ自然物と同化したような道標や道祖神に対した時と同じような気持ちになったことをよく覚えている。それは私にとっては、芸能だ芸術だとものわかれする以前の時代における創造という行為に思いを馳せさせる。ステージでは小人物を演じる氏だが作家としては超俗的な、自然と一体化したか如く唯一無二にして不動の存在だと私は勝手ながら思う。そしてこれらのことを氏の持つ「二面性」と捉えるのもおそらく不適当だとも感じている。
話が逸れた感もあるしこの辺で切り上げよう。この度上野氏がお江戸からやってくる。あまり無い機会なので皆様ぜひともお越し願いたく申し上げ候。なお翌日木曜には上方へも参じ大坂は梅田ムジカジャポニカにて演奏させていただきます。
12/23(水祝)18時開場19時開演前売2500円当日3000円*お一人様でご来場の方特典あり
出演:上野茂都/Ett/犬子動画舎(映像作品)
会場TOKUZO
名古屋市千種区今池1-6-8ブルースタービル2F
予約受付中電話0527333709
Eメールinfo@tokuzo.com
写真は漫画の続き。






