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半農半音楽

Coupレーベル渓

渓(ケイ):COUP(クー)レーベルをグラフィックデザイナー高橋佳介(株式会社クーグート)と’99年に立ち上げ、以来制作を担当する。自身もギタリストとしてEtt(エット)のリーダーを務める傍ら多ジャンルに渡る演奏活動と各地でのツアーを行う。 '08年には通算4枚目のソロアルバムTamatsi Maxa Yuawi (タマツィ・マラ・ユアウィ)を発表した。CM音楽などの作曲や、ギター講師も務める。
2009/11/30

塩分の町

その町では、何かが違っていた。

冷たい食べ物しかメニューにない、デッドベアのステッカーがベタベタ貼られた店。

壁面に直に漢字が下から上へ横書きに書かれた店。

そして私はその町出身の連れに連れられてとある店に入り、そこの名物だという味噌カツを頼んだ。

出てきたのは黒い塊であった。

味噌をかけたというより味噌に漬けたようなカツだった。
しかも味噌は赤味噌というより黒味噌といったほうがいいような、あるいは粘った醤油とでもいうような代物であった。

これは海の無いこの国の人々の塩分への渇望なのか。

とにかく私にはそれを食べることは試練だった。一枚のトンカツに使われている塩と砂糖と味噌の量はおそらく私が一週間に摂取する全量に等しい。

これは黒味噌の黒ミサなのか。ブラック豚サバスなのか。私は生贄の羊なのか。

「このカツ一回洗ってくれ!」、私は心の中でこう叫んでいた。

付いてきた山盛の御飯はひょっとして食べるためではなくカツに付いた味噌を拭うためのものなのかしれないとも思った。が周りを見渡すと皆その「カツ入りの味噌」と大盛り御飯を平らげている。

私は連れの頼んだ焼きうどんを箸休めにしようと口にした。がそれもまた塩とソ−スと化学調味料が高濃度なハ−モニーを織り成す逸品だった。

急性肝炎にでもなりそうな私を尻目に連れは特盛りの焼きうどんを完食しつつあった。普段少食な彼女が麺の形をした塩の塊を嬉々として平らげるさまに私はかなり驚いた。

我が軍には頼みの綱のキャベツも無くなり、私は一口大のカツを3ミリくらいずつしかかじれなくなっていた。最後は何切れかを完全に「塩ハイ」に入った連れに食べてもらい店を出た。

この国ではひょっとして全ての食材を塩漬にしてないだろうか。冬の食料不足に備える山間の人々の習性で肉も麺も漬物にしてはいまいか。塩分に関する味覚の基準が漬物のそれではないか。

赤味噌の国に戻ってから、私は黒味噌の国出身者でその店の常連でもあるcdショップSONGS店主K氏に味噌カツの味の濃さについて尋ねたところ、

「余所が薄すぎるだけだ」

という答えが返ってきた。。。


岐阜おそるべし。まだまだ探索の余地は多そうで楽しみだ。

漫画の続きはまた来週。

マンゲ・タック!!!!(前回参照)