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半農半音楽

Coupレーベル渓

渓(ケイ):COUP(クー)レーベルをグラフィックデザイナー高橋佳介(株式会社クーグート)と’99年に立ち上げ、以来制作を担当する。自身もギタリストとしてEtt(エット)のリーダーを務める傍ら多ジャンルに渡る演奏活動と各地でのツアーを行う。 '08年には通算4枚目のソロアルバムTamatsi Maxa Yuawi (タマツィ・マラ・ユアウィ)を発表した。CM音楽などの作曲や、ギター講師も務める。
2009/07/03

何故名古屋ではラップ/ヒップホップ/レゲエが盛んなのか4

 文化によって程度の差はあれども、詩を含めほぼ全ての「うた」はリズムを持つ。早口言葉の類いも世界中に在る。しかし我が国に於いては、そのエンターテイメント性も含めラップとよく似た面を持つ伝統芸能がはるか昔から在ったのである。我々は意識上ではラップを「新しい音楽」と認識したが、意識下つまり無意識層では旧き音楽と関連付けることが可能であった。故に日本人のラップへの理解と日本化はことさら速やかに行われたのである。その伝統芸能の名は萬歳(万歳/まんざい)と呼ばれるものである。その起源には諸説あり、種類も多く目的も多岐に渡るので詳しくは専門の方の著述を参考にしていただきたい。私が先ず述べたいのは萬歳とラップの音楽的構造の類似点である。
 基本的な形の萬歳に用いられたのは鼓だけであった。あとは二人以上の人間の声である。故に他の日本の伝統音楽に比して萬歳の節(ふし)はよりリズミックである。また中には部分的あるいは全体的に節というものも失くなり、言葉が一定のリズム上に乗っているもの、さらにそれが即興的に行われるものに変化することもある。これはラップと大いに共通する部分ではなかろうか。鼓の代わりに自分の顔や体を叩きながらの萬歳も古い録音物に残されているが、これなどまさにヒューマン・ビ−トボックスではないか。
 
 そうかもしれんがワシは漫才はともかく萬歳なんか知らん、無意識の中にもそんなものの記憶も影響も無い、という方もあろう。だが萬歳の影響は現在の芸能にも残っており、私達はそれらを通じて萬歳のエッセンスに触れている。次に私はこの点について述べる。