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半農半音楽

Coupレーベル渓

渓(ケイ):COUP(クー)レーベルをグラフィックデザイナー高橋佳介(株式会社クーグート)と’99年に立ち上げ、以来制作を担当する。自身もギタリストとしてEtt(エット)のリーダーを務める傍ら多ジャンルに渡る演奏活動と各地でのツアーを行う。 '08年には通算4枚目のソロアルバムTamatsi Maxa Yuawi (タマツィ・マラ・ユアウィ)を発表した。CM音楽などの作曲や、ギター講師も務める。
2009/06/15

発酵2

 発酵1の回は本コラム連載開始あたりにあり。そして、長い間待ちに待った逸材が遂に名古屋ミュージックシ−ンに登場した。彼の名は

HADA

http://hada.nobody.jp/

 今名古屋周辺では最も熱い男だ。干し草のベッドが冬でも暖かく感じるほどの発酵熱を発している。
 彼がどれだけすごい男かは上のサイトを観るだけで充分窺い知ることができるので、私のような者が補足を加えることは避けたい。とにかく彼のブログ日記を最初からチェックしてほしい、自筆のプロフィール文をくまなく読んでほしい。そして彼のアルバムを買って聴いてみてほしい、ライブには是非行ってもらいたい。
 彼について考える時、私が想起するのはあの人だ。キンちゃんが自分が持った唯一の弟子だと認めた男。作曲家の故宮川ひろし氏をも唸らせた男。そう、斉藤清六だ。
 彼はその名盤「なんなんなんだ」(1982年)の中で、音程もリズムも全て無視したように思える自身の歌唱法について、なんら疑問を持っていないどころか絶対的な自信を持っているという言葉を残している。
 余談だがこの音源なんとオンラインで再発されている。試聴もできるので聴いてみてはいかがだろうか。個人的には「勝手にSドバット」をお勧めする。サビが来る前のワンコ−ラス分の伴奏内でサビ部分の歌詞まで歌い切るという離れ業が聴ける。
  
 ここで私は決してHADA氏が斉藤氏と同じく音痴だと言っているわけではない。しかし観る者を幸せにするあの感じがとても似ているように思うのだ。HADA氏のように自分を信じていれば、そしてそのことを意識すらしないほどにいられたら、人生って意外とシンプルで喜びに多いものになるのかもしれない、自分もそうなれるかもしれないと思うのだ。ある意味愚鈍ともいえなくもない程にストレートで不器用でひたむきな姿に私は心のどこかで感動しているのだ。そしてその音楽の上に、本人は無自覚だろうがユ−モアが現出している。これは天才のみが成せる技である。ブラウン管を通してしか知らないが、多くの人を腰砕けにした斉藤氏も人を笑わせはこそすれ自分はほとんど笑うことが無かったそうだ。そういえば「村の時間」での彼はほとんどいつも真顔だった。
 人を笑わせることは本当に難しい。何かに感動したり泣いたりすることよりも、笑いの方が人をより幸せな気分にさせることは多い。あざとい仕掛け無しに人を笑わせられる人間はそうはいない。HADA氏はもちろん真剣に音楽活動に打ち込んでいるだけであるが、絶妙な具合で観る者を笑わせる。本人がそれを無自覚でやっているところが天才的だと思う。そしてこの点がその他大勢とHADA氏の決定的な違いだ。
 ここで今一度HADA WEBを見てほしい。そしてこの話題は来週へ続く。