2009/04/27
異性にグッとくる瞬間その2
………山をナメていた。入口のドアを開けるとそこには男が二人きり。店のオ−ナ−とおそらく出演者。がその人物は楽器を構えてはいない。
「すいません、今日はもう終わっちゃったんです。」
と店主らしき男性が多少悪びれた様子で言う。
「え?七時半開演で今八時だけど終わっちゃったの?」
「はい。今日はもう終わりなんで。すいません。」
おそらく誰も客が来ないのを見てライブも始めずに閉店することにしたのだろう。30分くらい遅れてもせっかく三人も来たのだから始めればいいだろうにとも思うのだが、その時のボク達ときたら想定外の外の事態に只呆気にとられるばかりで、何も言えぬまま黙って追い出されたのだった。
名古屋市からわざわざ電車で遠い町まで30分ばかし飲みに来ただけになってしまったボク達だが、逆向きに走るM鉄パノラマカーに乗って帰る道すがら、みんな「今日は良かったね。」と思っていた……はずだ。誰ひとりとして怒っていなかった。すくなくともボクはその日の「ライブ」にかなり満足していた。こうまで裏切られることはそうそうない。期待通りの変な店だったがライブを聴かせないほどだとは想像だにしなかった。ありえなさ過ぎて、まるで完璧に予想を超えるショーを見せてもらった感じだった。滅多にできない体験をありがとう!とまで思った。
同時にボクは己の慢心を恥じた。店に入るまでは「ま、だいたいこんな感じでしょ」と色々と想像してタカをくくっていた。しかしまるで思わぬ方向から飛んできた剣にバッサリと斬られてしまった形で全て終わってしまった。まだまだ修業が足りない。
その後我々一行は名古屋に戻り、その日二度めのすっぽんラーメンを食べ、大須商店街の招き猫の前でリベンジを誓い合い別れた。
(漫画は本文とは関係なく次回へ続く)
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