名古屋音楽シーン
近頃愛知県外の方から名古屋の音楽シーンについてよく聞かれることもあるので、少し書いてみようと思う。
正確にいうと私の知っているのは名古屋「地下」音楽シーンということになるだろう。何を以って「地下」とするかだが、いわゆるメジャー志向の薄い、あるいは全く無いミュージシャンが活動している所と思っていただけると分かりやすいかと思う。その一方でメジャーになりたい、メディアに露出したい、東京に行きたい、という人達の集まるシーンも在る。そちらとは私は全く繋がりが無く何も知らないので、何も書けない。また、ジャンルでいうとクラシック、ヒップホップ、レゲエ・シーン、ヴィジュアル系音楽のことも知らない。ジャズやブルース、ブラジル音楽を中心としたラテン音楽、商業的なものではないロック、となると友人知人も増えるが多くはない。そしてその他にそれら全部から外れてしまった人達の一団があり、私はその中の一人だと思う。
「一団」と書いたが特に結束といえるものもなく、個々の活動も音楽の志向もバラバラで、縦横のつながりは薄い。この点は名古屋地下音楽シーンの特徴の一つだと私は思っている。このような狭い都市で、お互いに面白い音楽をやっていながら顔も知らないということがよくある。加えてそれぞれの活動が「超」マイペースで、積極的に情報を発信しようとする人ないしバンドも少ない。「名古屋の音楽が面白い」という県外での噂は、名古屋に来た県外のミュージシャンから広まったと思われる。名古屋のこの界隈の面白いミュージシャンの多くはライブ・ツアーなどで県外に出て行くことがないからだ。中区、千種区、昭和区(それぞれ名古屋市の区名)から出たことがないんじゃないかと思われる人も居る。
リスナーのほうにも名古屋的特色があると思うのだがこれは違う機会に触れるとして、名古屋地下音楽シーンで活動する演奏者の多くはそれぞれ「集団から外れてしまった人」である。そしてそういう人間同士の仲間意識、身内っぽい感情も薄い。故に名古屋では大阪のようなアングラ・シーンが形成されず、県外の人間からは非常に把握しにくい、在るのか無いのか分かりづらい「シーン」になっていると私は考えている。
ここ数年の間で、ウチのレーベルに名古屋音楽事情について聞きに来られる方が増えたが、私は先ず自分には名古屋音楽シーンの全体像については語ることができないと断った上で、自分が面白いと感じるアーティストがよく出演するライブハウスを三つほど教え、そこに行くことを勧めることにしている。それらの店があるおかげで、名古屋地下音楽シーンと呼べるものがある程度形になっていると思う。どのジャンルにも当てはまらない「その他」の人々が、お互い仲間意識は薄いにせよよく顔を合わせるのがそれらのライブハウスである。名前を列挙することは今は控えておく。
この「名古屋地下音楽シーン」について、次回も続けて書いてみようと思う。あまり長くなってもいけないので中途半端ではあるが今週はここまで。
ダラダラと実の無いことを書いてしまった気がするが最後に豆知識をひとつ。「ライブハウス」という言葉は英語ではない。日本の音楽事情について知らない外人さんには通じないのでご注意を。venue という言い方が一般的なようです。
(漫画は本文とは関係なく次回へ続く)
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