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日本映画界の若き鬼才・是枝裕和監督の新作「歩いても 歩いても」。記者会見に阿部寛も登場!

日本映画界の若き鬼才・是枝裕和監督の新作として、早くも話題の映画「歩いても 歩いても」。

今回この映画の中で、40歳になってもちょっと不器用で、家族に対して何となく素直になれない平凡な男性・良多をリアリティたっぷりに演じた阿部寛さんと是枝裕和監督が先日、キャンペーンで名古屋を訪れました。 

タイトル:「歩いても 歩いても」
監督:是枝裕和                    
脚本:是枝裕和
原作:是枝裕和
出演:阿部寛、夏川結衣、YOU、高橋和也、田中祥平、樹木希林、原田芳雄
製作:「歩いても 歩いても」製作委員会
配給:シネカノン
7月19日より名古屋名演小劇場にて公開

ストーリー)
絵画修復士だが、今は求職中の良多(阿部寛)は妻(夏川結衣)と息子と3人で、亡き兄の命日に実家へ向かう。実家には手料理を振舞う母と明るい姉夫婦家族、そして良多とそりの合わない元開業医の父がいる。普段は老夫婦だけの家に久々に笑い声が響く。

久しぶりに会う老いた両親の姿、古くなった家・・・。一日を共に過ごしていくうちに、会話の中に家族それぞれの想いが見えてくるのだった・・・ 

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試写を観たプレス関係者が皆口を揃えて大絶賛したこの映画。どこにでもありそうな家庭の姿だが、誰もがきっと自分の家族を懐かしく、そして切なく思い、登場人物の誰かとつい自分と重ねてしまう・・・。そんな映画だ。

主人公の良多は40歳で失業中、医師であった父と亡き兄にコンプレックスを感じながら生きてきた。

良多を演じた阿部さんは、その輝かしいキャリアや立ち振る舞いから役柄とは全く正反対の人間に見えるのだが。

「いえ、本当の僕は良多のように、いい年をしても家族に何故か素直になれない不器用な男ですよ。ですから役作りも難しくなく自然に良多という人物を演じることが出来ました」

主人公の良多役に阿部さんをキャスティングした理由について監督に聞いてみた。

「真面目で不器用・・。そんな良多を嘘でなくリアルに演じられる40代を探していました。そんな時、あるテレビ番組でチンパンジーと共演している阿部さんを観たのです。阿部さんが真面目にチンパンジーにやられていましてね。あっこの人しかいない!と思ったのです。キャスティングに関しては直感が外れたことがないので、確信しましたね。それで翌日早速阿部さんに連絡を取ったのです。」

阿部さんがその理由を知ったのはもっと後になってからだったそう。

 

この映画は是枝監督自身の体験をもとに描かれた部分が大半だという。そのせいか劇中で目にする時代を感じるインテリア、家族設定、母の自慢の手料理などのディテールはかなり具体的で、それ自身がストーリー性を持っている。

これについて監督は
「ストーリーの8割は家の中で展開されています。最初は家の中だけで本当に大丈夫かなと心配したのですが、撮り進めていくうちに家の中はあらゆる場所がドラマになるということを確信しました。同じ台所でも、その場所にいる人間の組み合わせが変わればストーリーは際限なく続くのです。母親が料理をする音も、誰にとっても記憶にある生活音でしょう。そういう日常のディテールの積み重ねが家庭劇(ホームドラマ)なんです」と語っている。

 

樹木希林さん、YOUさん、夏川結衣さんなど豪華キャストも話題だ。

「バラエティ豊かなキャスティングでしたね。樹木さんとYOUさんは台本読みの時点で既にもう親子でしたし。とても和やかな雰囲気の現場で、やりやすかったです」と阿部さん。一方、監督は「試写を観たとき、演じた現場の雰囲気がそのまま映っていました。これは嬉しかったですね」と語る。

このお二人の言葉で、いかに現場の雰囲気が良かったかがわかる。

 

原作・脚本・監督・編集の全てが是枝監督自身によるもの。

これについて監督は
「監督業とはそういうものだと考えています。自分の書いた作品を自分の思うように撮る。全て自分の考えが反映されるので迷うことなく進めていけるのです。現場で突然ひらめいたセリフや演出の変更なども脚本家と相談せずに自分で決められますから、やりやすいのです。」とさらりと答えた。

阿部さんも「本読みの段階で疑問があれば、そのつど監督に確認することが出来ました。時には監督と台本の読み合わせまでしたり。監督が原作、脚本まで手がけているので本当にやりやすかったと思います」と語っている。

是枝監督は映画を撮るということを、原作・脚本・監督・編集の全ての業務のことと捉えているようだ。

そして今後もこのスタイルを続けていくつもりだと語った。

家族の中で会話に裏表があったり、表面には見せない寂しさや悲しみを抱えていたり、あきらめがあったり、愛情の裏に残酷さが見え隠れしたり。観客は何気ない家族の日常の中に、こんなにも沢山の感情を入り混じっていることにあらためて気づくことだろう。劇中に詳しい説明などは必要がない。古くなった家や亡き兄の仏壇、風呂場の壊れたタイル、父のコレクションのレコードの音楽、そして年老いた父母の背中・・・。良多の結婚相手の連れ子である少年の唯一の客観的な視線から、その家族の状況が手に取るようにわかる。

ささやかな約束も果たされず、時間は過ぎていく。家族というものは次の世代に変わっても、そうやって続いていくのだろう。

観た後に、なんとなく「どうしているかな」と家族に会いたくなり、共に過ごす時間をもう少し大切にしたくなる。静かに心に響く映画だ。

この記者会見でお会いした阿部さんは丁寧に一つ一つの質問に答えてくださり、穏やかな人柄が伺えた。コメディからシリアスな芝居まで、幅広く演じることが出来る俳優として、今後の更なる活躍に注目したい。

そして是枝監督が今後も描き続ける世界をもっと知りたくなること間違いない。

編集部・木下

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