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せつなさ100%の恋愛映画「人のセックスを笑うな」会見インタビュー

「こんなラブストーリーを待っていた!」
人が人に恋する気持ちを丁寧に描いた、せつなさ100%の恋愛映画「人のセックスを笑うな」。2004年に文藝賞を受賞した山崎ナオコーラのデビュー作「人のセックスを笑うな」を原作に、「犬猫」の井口奈己監督が独自の視点で描いた恋愛映画として完成。

自由奔放な主人公、美術講師のユリ役には、井口監督が「外見がかわいくて、かつ小悪魔的な魅力がある」と絶賛する女優、永作博美。そんなユリに振り回されつつ、一途な恋に落ちて行く美術学校生、みるめ役は、映画「デスノート」のL役など映画、ドラマで活躍中の松山ケンイチが演じる。また、みるめの同級生役を演じる蒼井優、忍成修吾をはじめ、あがた森魚、温水洋一、市川美和子ら豪華キャストが共演。まるで観客側も恋愛をしている感覚に陥るようなリアルな描写がちりばめられた、極上の青春恋愛映画に仕上がった。


地元の美術学校に通う19歳のみるめ。ある日、20歳年上の美術講師ユリに絵のモデルを頼まれたことをきっかけに、気まぐれで自由奔放なユリの魅力に惹かれ、恋に落ちる。しかし、ユリが既婚者だったことを知り、傷つきながらも諦めきれずに会いに行くみるめ。そんなみるめにほのかな恋心を寄せる同級生のえんちゃん、それを見守る堂本、ユリとみるめを中心にえんちゃんや堂本、ユリの夫、猪熊さんらを巡って綴られるラブストーリー「人のセックスを笑うな」。会見で語られた、井口監督が描きたかったもの、永作さん演じる「ユリ」や登場人物たちの空気感、撮影秘話など、同作の魅力を一挙掲載。

井口監督自身が初めて恋愛映画を撮影するにあたり、何か心掛けていた部分は?
井口監督恋愛のあまずっぱさのようなものを再現したいと思っていたので、エモーショナル(感情的)なものが遮られないように心掛けました。ユリとみるめが担うエモーショナルな部分の一方で、恋愛で負けている人がいるという構図を作り上げたくて、えんちゃん(蒼井さん)や堂本(忍成さん)のような役に広がりを持たせていきました。でも、最終的にどんな映画になるかを想像して作っていたわけではなく、脚本、ロケハン、美術、スタイリストさんの選ぶ衣装などスタッフ側で準備できる最善のことをそろえた段階で役者さんたちがどう動くか、の中でテイクにオーケーを出していくうちに、「あ、映画ができちゃった」という感じでした(笑)。

年下男性を翻弄する、小悪魔的だが憎めない自由な女性「ユリ」を演じた永作さん。「ユリ」の人物像をどのように作り上げたのか?
永作さんユリのどうにも言いようのない、生きていることに言い訳がないフラットな感じが気持ちよかったので、そこからブレないようにしたいなと思っていました。ユリという人を1人の「女」としてではなく「人間」として捉えて、彼女なりの生き方が見えればきっとユリの存在感が残るだろうなと思いました。井口監督がおっしゃっているように、みんなで最善をつくして走っていたら「映画ができちゃった」という感じは、すごくよくわかります。それが、映画の中で描かれている「恋愛」とリンクするところがあるのかなと思います。

その世界感を作り上げるのに、監督から何か指示はありましたか?
永作さん最初に「力を抜いて下さい」と言われ、「力を抜いたまま、どんどん行っちゃって下さい」と言われました(笑)。力を抜いた演技をするため、整体に3回ほど行きました。とても気持ちがよかったので、力を抜いた演技としては効果があったのではと思います。監督からはシーンでの具体的な感情表現などについては何も言われなかったので、ユリが自宅で過ごすシーンは、ユリが毎日ここでこうして過ごしているだろう「いつもの動線」を歩いている感じを思い描きながら演じていました。

同作では長回しのシーンが多く採用されていて、映画の世界感をより自然体な空気で包み込む。このゆったりとしてナチュラルな空気はどのように作り出されたのか?

井口監督
ゆったりとした感覚のままカットが割れれば一番良いのですが、役者さんの演技がものすごく良かったので、カットがかけられなかった結果、長回しのようなシーンが多くなったんです。ユリのアトリエでエアマットを膨らますシーンのあたりは、ユリとみるめの関係がどんどん深まっていくところで、スタッフサイドも「この2人はどこまで行くのだろう」とドキドキしながら演技を見ていて、なかなかカットがかけられなかったシーンの一つです。


映画のシーンからも感じられるように、撮影中の松山さんは永作さん演じる「ユリ」との恋愛に夢中だった様子。そんな松山さんを永作さんはどう見ていたのか?
永作さんユリの行動によって、みるめ役の松山さんが心底がっかりしている様子を見るたび、いつも心の中で「ごめんなさい。ほんとに申し訳がない」と思いながら演じていました(笑)。虚構の世界とは言え、辛い体験をさせてしまったことが悪く思えて。でも、松山さんは本当に素直に演技をして下さるので、私も物語の世界の中で気持ちよく過ごすことができました。ユリのアトリエでみるめの服を脱がせていくシーンでは、松山さんは役者を忘れて本気で恥ずかしがっていましたね(笑)。でも、それも「リアル」な表現の一つなので、私も心を鬼にして演技を続けました。後で松山さんには「鬼!」って言われましたけど(笑)。普段の会話でも松山さんとの年齢差は感じるので、「かわいいなあ」とか「若いっていいなあ」と思いながら、お姉さんのように遠くから見守っていました。


永作さん演技に関しては、「スタート」と言われたら始めて、「カット」がかかるまで演じ続ける、それだけです。私は、みるめとのシーンがほとんどだったのですが、年齢差のある2人の恋愛の空気を頭で作り上げていくことが難しく、想像もできなかったので、最初から松山さんとのシーンでは「遊ぼう」と思っていました。もちろんセリフは使うけれども、遊びながら時間を作っていこうと思いました。2人が共有している空気がないと、恋愛の雰囲気は生まれないと思ったので、セリフがどうだということより、空気を大切にしながらシーンを作っていきました。



では、シーンについてはお2人で細かい打ち合わせをしながら作っていったのですか?
永作さんいえ。撮影以外の時はキャストやスタッフのみなさんとよくおしゃべりしていましたが、2人でこのシーンは何を話そうかとか、どういう行動をしようという話は、一切しませんでした。監督は、いつも松山さんに「フレッシュな感じで」とおっしゃっていたので、新鮮な感じを求めているのがわかりました。だから、シーンについてあまり深く話をしてしまうと、お互い構えてしまうかなと思ったので、これから起こることは口に出さずに、カメラの前で初めて演じようと思っていました。

そんな自然体で演じた永作さんですが、思わず自分の素の部分が出てしまったシーンは?

永作さんたぶん、たくさん出ているんじゃないかと思います。お互いユリとみるめとして演じてはいたのですが、完成した映画を観終わった後は、自分でも「恥ずかしい!」と思いましたね。

原作のファンも思わず納得してしまうような、役のイメージにぴたりとはまったキャストたち。井口監督は、どのようにキャストを選定されたのか?
井口監督ルックスよりも役に合っているかが最大のポイントで、役者さんには「役を生きて」もらいたかったので、何もしていなくても「ユリ」だったり「みるめ」だったり、という雰囲気のある方にお願いしようと思っていました。映画は見た目が重要で気持ちは映らないので、見た目が好ましいかどうかは重要でした。永作さんは、まず見た目がかわいい、そして男気がある、女の武器を使ってずるいことをしない感じに見えたので、お願いしました。ユリはとても難しい役なのですが、永作さんなら絶対にできると思っていました。

井口監督みるめは、背が高くて痩せていてダッフルコートを着ていて、というようなイメージが自分の中にありました。顔は、今どきのはっきりした顔立ちではなく、わりと古風な顔立ちというか、朴訥(ぼくとつ)な魅力がある人がよかったので、松山さんに決めました。

 


撮影中で楽しかったこと、難しかったことは?
永作さん撮影が始まる前に、監督に「心配なシーンが2つあります」と話しました。1つはリトグラフのシーン、もう1つは、自転車で2人乗りするシーンで、自転車のシーンは出来ないんじゃないかと思っていました。でも監督からは「出来なくてもリアルなシーンになるからいい」と力強い言葉をいただけたこともあり、やってみたら意外とするっとできました。監督としては、もっとあたふたしているところを期待していたのかもしれないので、つまんなかったんじゃないかな(笑)。

全編自然な空気感で流れる映画の中でも、えんちゃん役の蒼井さんに堂本役の忍成さんがキスをするシーンは、蒼井さんのリアクションが特にリアル。もしかしてアドリブですか?
井口監督あのシーンは脚本には、「キスをする」としか書いていなかったのですが、忍成さんにだけ「男らしく何度もキスして下さい」と指示しました。本番シーンでは、蒼井さんが本気でビックリしたビビットな反応をして下さったので、よかったなと思いました。

 


そんな偶然の連続で出来上がったシーンの中で、井口監督自身も驚いてしまったシーンとは?
井口監督ハプニングというか、偶然できちゃって驚いたシーンは、1フレーム内で忍成さんが車でバックしながら蒼井さんの歩く速度に合わせて会話をするシーン。私が脚本の中でそのシーンを書いた時に、スタッフみんなから「芝居しながらこんな事できないよ。スーパードライバーでも無理」と言われたのですが、免許を取得したばかりの忍成さんが3回実際に運転しただけで完璧にやり遂げたので驚きました。

スタッフ全員で最善をつくしていたら、できちゃっと話していたこの作品。完成した映画をご覧になった感想は?
永作さん素直に「あ、初めて見た!こんな映画」と思いました。私が演じたユリや登場人物、背景など映画の世界全体がとてもなじんでいる感じがしたので、新鮮に感じました。

井口監督すごい自信作を作っちゃったと思いました(笑)。映画を見ている人たちにもエモーショナルな感情が沸き起こる感じを伝えたい、恋愛の情感を共感してもらいたい、そういう映画と観客のエモーションをつなげられたんじゃないかと感じたので、いい映画が作れたなあと思っています。


撮影スタッフすらもドキドキさせるほどのリアルな「恋愛」の雰囲気を描き、井口監督も「自信作」と話す映画「人のセックスを笑うな」。せつなくて甘い恋愛がしたい全ての人、必見です。劇場で、登場人物たちのようなラブストーリーを体感してみては?

映画「人のセックスを笑うな」は1月26日より、「伏見ミリオン座」をはじめロードショー公開予定。

「人のセックスを笑うな」公式サイト 

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