
昨年、ファーストアルバム「NO PROBLEM」でメジャーデビューを果たしたジャパニーズレゲエの異端児HIBIKILLA。8月1日にリリースしたばかりのセカンドアルバム「濃厚民族」をひっさげて、ついに名古屋に上陸!
フューチャリングアーティストには、CHEHON、CHOPSTICK、JUMBO MAATCHと豪華アーティストに加え、佐々木健介&北斗晶夫妻公認応援ソングも収録された、まさに濃厚な一枚。9月にはZepp Nagoyaで開催されるイベントにも出演決定し、勢いを増すアーティストの1人であるHIBIKILLA。ZEEBRAらとも交流の深い彼が語る、アルバムやイベントにかける思い、レゲエへのこだわり、彼自身のルーツから日本の将来についてまで、一時間に及ぶ濃厚な独占インタビューを一挙掲載。
今年8月にリリースしたばかりのセカンドアルバム「濃厚民族」について
アルバムは全曲入魂で作りました。タイトルの「濃厚民族」には、「夏だ!レゲエだ!」ってちょっとチャラチャラしたイメージではなく、もっとディープでトライバルなもので他と一線を引いているって意味と、2曲目に収録されている曲「あっぱれ!JAPAN feat.JUMBO MAATCH」にもあるとおり、「日本」に対しての思い、もう一つは「耕す」「植物を植えていく」というECO的な意味も含んでいます。あとは、「浅草キッド」の水道橋博士さんと格闘技のジムを通じて交流があるので、「浅草キッド」の著書「濃厚民族」からいただいたっていう経緯もあります(笑)。そんな感じで、東京・高円寺と中心とした独特の人脈なんかをレペゼンしたアルバムになっています。
特に、このジャケットは、未来の人にジャケ買いしてほしいと思ってこだわりました。金子ナンペイさんの絵が好きだったので、お願いして描いてもらいました。昔のLPのA面B面みたいに作りたかったので、ジャケットもわざと紙製にしてるんですよ。明るいレゲエのイメージだけじゃなく、後半は切ない曲やスローテンポな曲も入れて、「LPスタイル」にして、アナログ感を出しています。製作期間は、構想に1カ月、レコーディングに約2カ月ぐらいです。
あとは、音楽好きな人って、過去の音楽も掘っていって聞くじゃないですか?で、20年後、30年後の未来の人がもし俺のCD買ってくれたとして、「聞いてみたら、カッコいいね」って言ってくれるような思いで作ったので、今のチャートとか流行りとかそう言ったものよりは、自分の趣味を押し通したって感じですね。
特に3曲目「Northern Light Bomb」は、プロレスラーの佐々木健介さんからインスパイアされて完成した曲。佐々木健介さんと北斗晶さんの公認応援ソングとなっている。なぜ佐々木健介さんなのか?
自分でも格闘技の道場に2年ほど通っていて、1プロレスファンが高じてジムに通うまでになってしまったのです。プロレスラーの中でも、なぜ佐々木健介さんか好きかというと、その雑草っぷりがいいと言うか(笑)。新日本プロレスを離脱して、WJプロレス移籍後もうまくいかなくて、その後独立でブレイクっていう雑草のようなところが結構好きで、リスペクトとともに曲を作ったという感じです。
さらに、9月1日にはZepp Nagoyaで行われるイベント「NAMIMONOGATARI 2007」にも出演。ますます活躍の場を広げている。どんなイベントなのか?
「NAMIMONOGATARI」というタイトルからもわかる通り、「サーフィン」というスポーツを通してつながったアーティスト達が集まって行うイベントです。自分も、去年初めてサーフィンをやってみまして、経験を通して「波祭り feat.CHEHON」(アルバム「濃厚民族」収録)って曲も作りました。「サーフィン」を通して、今よく言われている地球環境の悪化であったりとか、「BEACH CLEAN」だったりとかを呼びかけつつ、音楽イベントを開催して楽しもうというものです。楽しみに来てくれるお客さんには、レゲエなりのメッセージ性を大切にしているので、その辺りが伝わると嬉しいです。

さて話は一転して。ミュージシャン「HIBIKILLA」はどのように生まれたのか?
HIBIKILLAさん自身のルーツについて聞いてみた
なんでレゲエのミュージシャンになったかと言うと、音楽的にもの心が付く思春期の時代には、ジャンルは問わず全方位的に音楽を聴いていたんですね。で、その頃聞いていたロックミュージシャンの曲の中にも「ボブマーリィ」って歌詞が出てきたりとか、結局白人の音楽って言われているようなロックでも、ルーツをたどれば黒人の音楽なんじゃないかって思ったんですよね。それで、黒人の音楽の中でも独自の発展を遂げている「レゲエ」というものに、非常に惹かれるものがあったので、やってみようかなという気持ちになりました。HIPHOPも好きだったんですけど、90年代当時はHIPHOP黄金期で、ZEEBRAさんの「キングギドラ」とかパイオニア的な人達が既にたくさんいて、彼らの存在がデカすぎちゃって、「もし今から俺がHIPHOPやっても間に合わねえな」と思ったのも事実です。だからレゲエならイケるんじゃないか、と思いました。今はドップリはまってます。

ジャマイカから始まった「レゲエ」音楽を日本語のリリックで伝えるって事には、いつも難しさを感じています。日本語でやってる以上、海外のマーケットでウケる事もできないワケで。今度はフル「パトワ」(ジャマイカで一般的に使われていることば、ジャメイカン・クレオール)でリリックを書いてみようとも思っていますが。でも、日本人に伝えるには、日本語でなければいけないんですよね。ただし、それをやりすぎてしまうと「レゲエ」じゃなくて、単なる「歌謡曲」になってしまうので、ジャマイカのまねにならないように、歌謡曲にもならないように、なんてところで結構「縛り」が多い音楽だなあって感じています(笑)。
レゲエのリリックには、俳句で言うところの「五・七・五」みたいにライム(韻)を踏む「(言葉が)はまる美学」みたいなものを持ち合わせているので、リズムに日本語を流れるように乗せる事を意識しつつ、固い四文字熟語のような言葉ではなく、日常俺たちが使っているような言葉を乗せるように意識しています。その「難しさ」と同時に「楽しさ」もあるんですけどね。音楽ってジャンルで聞くものじゃないので、ロック、HIPHOP、レゲエとかでジャンルでくくってしまうんじゃなくて、自分の好きなくくりを個々人が見つけて、そこを掘っていければ音楽ともっと楽しく付き合っていけるんじゃないかな、と思いますね。
でも最近、会った事も聞いた事もないような海外のアーティストからオファーが来たりするんですよ。トランスとかテクノで有名なチェコ人のDJの方からの依頼で一緒に曲を作ったりもしました。あとはドイツ人のアーティストさんとかも交流があります。インターネットが普及したお陰で、海外の一流ミュージシャンとも仕事ができるようなチャンスが広がってきたので、面白いですね。
楽曲にも「格闘技」「野球」などスポーツ好きを象徴する曲が現れている、自称スポ—ツ全般オタクのHIBIKILLAさん。スポーツと音楽のHIBIKILLAさんなりの関係について
もうね、こうなるのは生まれた時からの運命だと思うんですよね(笑)。父親は体育の教師で、音楽好きなんです。ジャズ、ロック、ブルース、R&Bなんかが子どもの頃から家で普通に流れていたんです。だから「音楽好きの体育教師」の息子が「体育好きの音楽家」になったというだけです(笑)。 スポーツに関しては、見るのは全部好きなんですが、やるとなると、野球にしろサッカーにしろメンバーの人数集めるのって結構大変じゃないですか?大人になっちゃうと。格闘技だったら1対1でもできるし、毎日一人で道場も行けるってところで、やる分には格闘技が一番ですね、今は。そんな生活を続けていると、当然曲にも反映されていくワケで、それも面白いのかなと。他には、政治や経済にも興味があって、経済新聞を愛読したりしているのですが、鳩山由紀夫氏と対談したレゲエのDJは国内探してもいないだろうと(笑)。株式市場の名前を付けたDJも俺しかいないだろうと(笑)。
ミュージシャンになっていなければ、教員とか「人に関わりつつ固い仕事」に就いていたかも。高校生の時に弁論部っていうのに入っていて、HIPHOPとかレゲエについて弁論して全国大会まで行きました(笑)。基本的に文系の人間なので、喋りながら人と関わる仕事、もしかしたら雑誌の編集者なんかになっていたかもしれないですね。
曲つくりのシチュエーションについて
雑誌を読んでいたり、テレビを観ていたり、街を歩いていたりって時に、アイデアの種がころがってるんですよね。そんな時に一言だけぱっとメモライズしておいて、キーとなる言葉をテーマに机に向かってノートを用意して、ヘッドフォンをピシッとして「ううう〜〜ん」なんてやっていますね(笑)。1時間でできるものもあれば、何週間とかかる曲もあります。短い時間でパパッと出来た曲っていうのは、自分でもいい曲できたなって思いますね。でも、自分の感覚と聞いているお客さんの感覚って絶対違うし、予想もしない曲がウケたりするんですよね。だから自分としてはイージーに作った曲もあえて入れたりね。酒飲みながらノリで出来ちゃった曲なんかも多いです(笑)。こっちはいろんなアプローチで曲をサプライするから、後は聞く人がどのように取っていただいてもかまいません、というスタンスでやっています。
名古屋は音楽や芸術について「保守的」と言われていますが、客のノリはどうですか?
名古屋って、客のノリとしてはそんなに東京とかとかわらないけど、意外とみんな大人しいですよね。イベントとかですごい騒ぐわけじゃないのに、「名古屋巻き」であったり、ファッションがハデだったりって、あれはいったい何でなんすかね?(笑)。不思議な「名古屋気質」をたまに感じますね。あと、赤味噌好きですよ。たまに家でも赤味噌のみそ汁とか作りますよ。あの独特の味はクセになりますね。他には、ドラゴンズって「燃えよ!ドラゴンズ」とか言ってる割には、監督自身もあんまり「燃えてない」っていうか(笑)。中心選手も「燃えてる」ってイメージがなくて「クール」ですよね。あえて言うなら川上憲伸選手は「燃えてる」男なのかな〜?そんなところが、一野球ファンとしては面白いですね。
今後やってみたい事、気になる事は?
アマチュア格闘技の試合に出てみたいです(笑)。格闘技って見ていると「雄」としての本能が働くんですよね。あと、今気になるのは、先日の選挙もそうですけど「今後、日本はどうなってしまうのだろう」ってところが非常に気になりますね。どこかの党が主導権を握ったからと言って、社会主義になったり共産主義よりになってしまうわけではないので、国民のニーズにお互いの政党がどこまで応えてくれるのかに注目してます。政治も経済も文化も、一緒くたにしてまとめちゃって「どこ派」みたいな考え方にも疑問を持っているんですよ。そう言ったことも含めて、選挙権を持つ国民が、自分自身で生き方を見つけていかなきゃいけない時代になってきているのかなあと感じています。
HIBIKILLA(プロフィール)
1980年5月14日生まれ。牡牛座。O型。北海道江別市出身。立教大学卒業。
両親、祖父母ともに教員。将来は教員を夢見た事もある。映画「インディージョーンズ」に影響されて冒険家に憧れ、早稲田大学の吉村作治教授とともに遺跡発掘調査の参加を考えたこともある。高校生の頃から、音楽、特に「レゲエ」に興味を持ち始める。音楽の情報や活動の場が少ない地方では限界があると感じ、「東京でレゲエをやってみようかな」という野望を秘めつつ、大学受験を口実に北海道から上京。2000年、東京代表としてレゲエクラッシュイベント「登竜門」に出場、準優勝を獲得した。2004年、リリースした7インチシングル「100烈拳」が、シスコレゲエ店売り上げ総合チャート1位を数週間に渡って記録し続けるヒット作となる。2006年7月、ファーストアルバム「NO PROBLEM」でポニーキャニオンよりメジャーデビュー。同アルバムは、ミュージックマガジン誌が選ぶ「2006年ベストレゲエアルバムランキング」で4位を記録した。2007年8月、セカンドアルバムとなる「濃厚民族」をリリースしている。
ミュージシャンとして活躍する一方で、鳩山由紀夫氏ら国会議員との討論会にアーティスト代表として参加、格闘技団体「Shoot Boxing」ではリングアナウンサーを務め、レゲエ雑誌「Strive」にもコラムを長期連載するなど、さまざまな才能を発揮。株式運用にも興味を持ち、JASDACの新しい株式市場のネーミング公募で、彼が命名した「NEO」が、応募総数1440通の中から採用された。



